9/30 埼玉武蔵ヒートベアーズ 6-3 徳島インディゴソックス(坊っちゃんスタジアム)
先手必勝だ。未知の世界の「独立リーググランドチャンピオンシップ」でベアーズが準決勝を突破した。いつも以上の大応援で、初回からベアーズのペースを作り出し、何度もチャンピオンを経験している徳島相手に主導権を握らせず完勝。ファンも松山に集結し、ともに劇熱な戦いを繰り広げた。
先発の大役に抜擢されたのは、若手左腕の太田大和。徳島は最優秀防御率のタイトルを獲得した池戸昇太が登板した。
先攻のベアーズは、まず攻めて勢いに乗りたい。最初からベンチも大きな声を出し、スタンドからの大声援とともに空気で圧をかけていく。初回、先頭の伊藤康人がいきなりヒットで出ると、青木玲磨がバントで送り、金子功児、阪口竜暉と連続で四球、根井大輝が押し出しの四球を選んでまず1点先制。さらに清田育宏がレフトに犠牲フライを打ち上げて2-0とした。
幸先のよい滑り出しで、打線がマウンドに上がる太田を後押しする。太田は四国のホームラン王・井上絢登をショートゴロに打ち取り、三者凡退と最高のスタートを切る。そのまま2回も三人で抑える申し分ない立ち上がりだった。
3回表、ベアーズの攻撃は、先頭の金子がライトスタンドへ久々のホームランを叩き込む。ベンチとスタンドの盛り上がりは最高潮となった。3-0。流れは完全にベアーズだ。二死から清田が歩くと、続く片山博視が放った打球は、レフトポール直撃の2ランホームランとなった。5-0とベアーズが5点をリードする。徳島は3回で池戸を諦め斎藤にスイッチした。
4回裏も太田が続投。四球で出た増田が盗塁を決め、ランナー2塁。ここで好調の角井に回る。角井はライトへタイムリー二塁打を放ち、徳島が1点を返した。太田は後続を断って4回1安打1失点と試合を作った。
1点を取られた後のベアーズは5回表、先頭の金子がヒットで出塁、根井の内野安打で一死1、2塁とした。続く清田のフェンス直撃二塁打で金子が本塁へ走るが、惜しくもタッチアウト。しかし片山が死球で満塁となると、町田隼乙のタイムリーで1点を入れた。6-1とリードして、ベアーズも継投に入っていく。
5回裏には菅原宗一郎が登板。プレーオフでは無失点、2勝を挙げている菅原が、2三振を奪う快投で三者凡退。対する徳島は斎藤から164キロ右腕のロドルフォ・マルティネスにスイッチ。伊藤に代わって守備から入った髙島がセーフティバントを決め、盗塁成功。チャンスを作るが、金子のヒットで本塁突入も憤死。6回7回とマルティネスからは無得点に終わった。
ベアーズは6回に武内風希が登板。初見では打ちづらい緩急を生かして無失点。7回には石田駿が2四球で苦しいピッチングとなるが、無失点で凌いだ。5点リードしても油断は出来ない、正念場の最終盤。8回のマウンドには倉橋瞳人が上がった。倉橋は先頭の井上にいきなり二塁打を浴びる。一死を取ってから増田にセンターへ打ち返され、6-2と4点差になった。
最終回にコールされた名前は、芦田丈飛。ベンチでも常に大きな声を出して盛り上げ、仲間を鼓舞し続けたムードメーカーが、望んだ最後のマウンドに立つ。筑後でのBC選抜戦でも4試合中3試合で登板しており、疲れも当然あるはずだ。速球は150台で153キロも計測したが、先頭の寺岡にヒットを浴び、暴投と四球でピンチを作ってしまう。平尾の打球は打ち取った当たりだったが、セカンドは捕っても投げられず、内野安打となった。一死満塁。打席は一発のある井上。2球目を打ち上げたが、ここは犠牲フライに留まった。徳島が1点を入れるが、反撃はそこまで。最後の打者、柏木を空振り三振に仕留めて6-3で試合終了。ベアーズがグランドチャンピオンシップ初出場で、決勝進出を決めた。
これしかない、という先手必勝のパターンで先取点をものにし、さらに2本のホームランで追加点と、常に試合を支配することが出来た。理想的な展開だった。決勝の相手はディフェンディングチャンピオン火の国サラマンダーズ。駆け抜けたシーズンもあと1試合。選手もファンも全力あるのみだ。
由規監督代行
「大和も久しぶりの先発で、長いイニングは考えてませんでした。先に点を取ってもらったことで、気持ちよく投げられたんじゃないかな。打たれるまでと思って投げさせました。継投は予定通り。小野寺は使わないと決めてたんですけど、最後バタバタするようなら行ったかもしれません。最後『もう出来ました』って言ってきたので。頼もしいです。応援はかなりのアドバンテージだったと思います。シートノック見る限りはみんな緊張してた感じだったので、そういうところも含めて先攻で良かったです。(決勝の相手は火の国)まぁお互い初見なので、あまり考え過ぎず自分たちの野球が出来れば。今日みたいな展開に持ち込めればと思います。(ヤクルト時代に慣れ親しんだ松山)秋季キャンプを思い出します(笑)球場が広いので、低めを狙おうとするより思い切って攻めようということは言いました」
片山博視(ホームラン含む2安打2打点)
「(ホームランは)大した球じゃないっすよ。普通に取りに来たまっすぐ狙っただけですもん。向こうが防御率1点台とか言ってたけど、そんなん別のリーグだから関係ないし、一発勝負だから関係ない。結果じゃないんすよ。一発勝負は。(今日の作戦は)清田さんと僕です。コントロールいいし、そんなアバウトに来ないから、ちゃんと狙いどころだけはやろうって話してて。右打者にはカット気味になるから開きすぎないように、とか。まあヤス(伊藤)がね、先頭でバチッと行ってくれたから、あれで乗ったっすよね。今日はヤスっすね。(声を出して叱るシーンもあった)まぁ楽しむにはやることやらないと。やった結果が楽しくなるんでね。もったいないもっと楽しめよと」
金子功児(ホームラン含む3安打)
「(CS、選抜、グランドCSと移動してフルで出ずっぱり)ヤバいですよね。その中で今日の結果は大きいです。いろんな発見があります。今日は守備も余裕持って出来ました。(ホームランは)清田さんにはずっと肩開かないようにいけよ、というのは言われてて、そういうイメージでまっすぐを粘ってたら、たまたまスライダーが甘く来て打てました。久しぶりですね。今年6本目のホームランです」
大田大和(先発4回 56球 1失点 被安打2 与四球2)
「先発を言われたのは一昨日の練習の時です。信濃戦で全然何も出来ないまま優勝とかのイベントやってたので、貢献したかったなというのがあって。やっと来た!と思いました。ホテルのそばにジムがあって、温泉とかもあったんです。球場に来てから時間がないって聞いてたので、早めに寝て朝早く起きて自分で準備をして、気持ちを作っておけたのが良かったです。(2回までパーフェクト 球速表示は145まで出た)3回途中からちょっとバテてきてるなって思いました。5回は投げたかったです。空さんにも5回0だったらご飯連れてくって言ってもらってたので。惜しかったです」
(記事: HISATO)